本の紹介
鳥井裕美子『前野良沢』(思文閣出版、2015年4月25日刊、2500円)が出た。鳥井さんが編集した『前野良沢資料集巻1~3』の資料をもとに、前野良沢の学究肌を平明に描いている。前野良沢といえば『解体新書』の翻訳の指導者、なのに『解体新書』といえば、杉田玄白のみの名前で知られており、なぜ前野良沢の名前がないのか、従来の諸説を検討し、じつは誤訳ばかりの『解体新書』の刊行には、オランダ語学者の前野良沢が名前を載せることを拒絶したのだろうという説を紹介している。また、『解体新書』の原本がターフェル・アナトミアだけでないこ