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井上友庵の医療道具(10)膏薬鍋

井上友庵の医療道具(10) 膏薬鍋 ◆友庵は「但シ赤金 一 膏薬鍋 壱ツ 代五拾匁」 と、膏薬鍋を注文しています。膏薬を練りあげるための鍋です。 ◆華岡青洲が、中国の医書『外科正宗』に記されている潤肌膏をもとに創案した膏薬を紫雲膏といい、現在でも成分は少し変わりましたが販売されています。 ◆『浅田宗伯処方全集』前編304頁)には、「紫雲(一名潤肌湯)、肌を潤し、肉を平にす。瘡痕の色変ずる者、これを貼りて常に復す」とあります。 ◆しもやけ(ひび・あかぎれ)・うおのめ(鶏眼)・あせも(汗疹)・ただれ・外傷・火傷(熱傷)・かぶれ(接触皮膚炎)などの皮膚病や外傷のほか、痔などにも使用され、漢方薬でも最も有名な膏薬の一つです。... ◆原材料は、胡麻油(100.0)、紫根(シコン、10.0)、当帰(トウキ、10.0)、黄蝋(オウロウ、 38.0)、豚脂(トンシ、2.5)の割合で、練り合わせて製造します。 ◆痔核による疼痛・肛門裂傷などにも適用されます。原材料の紫根は痔疾治療内服薬である「ボラギノール」にも処方されており、痔にはボラギノールというのもあながち誇張広告とはいえないようです。 ◆あかぎれといえば、思い出すのが「かあさんの歌」1956年作・窪田聡作詞・作曲の3番です。   かあさんの あかぎれ痛い   生みそをすりこむ   根雪もとけりゃもうすぐ春だで   畑が待ってるよ   小川のせせらぎが聞こえる   なつかしさがしみとおる ◆今では、あかぎれをしている女性はほとんどみかけません。あかぎれに生味噌をすりこむなんてひりひりして痛いようですが、そういう治療法をしていた地方もあったようです。ちなみに作詞・作曲の窪田聡(1935~)さんは東京生まれですが、戦時中に長野県の信州新町にある実父の実家に疎開しています。おそらくそこで見聞した治療法や体験、情景が、この歌に反映したのではでないでしょうか。なお、あかぎれの手で生味噌をするという解釈もあるようですが。


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