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『ライデン国立民族学博物館蔵ブロムホフ蒐集目録』


◆松井洋子・マティ・フォラー責任編集『ライデン国立民族学博物館蔵ブロムホフ蒐集目録』(臨川書店、9200円プラス税、2016年3月、写真)が出た。 ◆ブロムホフは、1809年に荷役夫として来日し、帰国後、1817年に商館長として再来日。ところが、家族を伴って来たので、幕府は入国を拒否。さまざまな交渉ののち、16週間後に妻子は、帰国させられた。 ◆写真は川原慶賀の筆によるブロムホフ家族図。本書表紙の椅子にかけたブロムホフ図は川原慶賀筆ブロムホフ家族図よりのもの。4年後に妻ティティアは本国で病死したため、結果的に出島での生活が、ブロムホフにとって妻との最後の生活になった。 ◆妻と離ればなれにされたブロムホフは、失意のなかでも、オランダがフランスに占領されて途絶えていた蘭日貿易事業の再開や、動植物研究、日本文化研究に取り組んだ。 ◆牛痘種痘についても積極的に導入を図っており、「1822年の船で牛痘苗が日本に送られていた。1823年3月7日、後にシーボルトの門人となる湊長安と美馬順三の訪問を受け」「3月11日、日本人に対する最初の種痘の実験が行われた」(...同書14頁)とあり、これは成功しなかったが、のちにシーボルトが来日後すぐに種痘に着手できたのは、このブロムホフの活動の前提があったからであった。 ◆本書は、ライデン国立民族学博物館に所蔵されているブロムホフが蒐集した資料の目録を翻訳したもの。シーボルトの研究は突出しているが、その活動の前提を作ったブロムホフの研究も重要であることを本書は改めて認識させてくれ、今後の研究材料を多く提供してくれる。 ◆なお、ブロムホフの種痘については、アンジャネッタ『種痘伝来』及び『オランダ商館日記』10に史料が載っている。


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